投資を始めたけど、何から気をつけたらいいかわからない
今のやり方、本当に合ってるのかな……
そんな不安を感じながら投資を始めたばかりの方も多いのではないでしょうか。
実は、投資でうまくいく人と失敗してしまう人の差は、知識やテクニック以上に「投資のNG」や「基本ルール」をきちんと押さえているかどうか。これが大きな分かれ道になります。
この記事では、投資歴10年の私が「1年目に知りたかった」失敗しないためのルールを初心者向けにやさしく解説していきます。
どれも難しい話ではありませんが、後回しにしてしまうと大きな損につながる可能性も。
これから投資を始めようとしている方や、すでに始めてみたけどちょっと不安…という方はぜひ参考にしてみてくださいね。
①感情で売買しない、時間を味方につける
投資で大切なのは、「いつ買ったか」よりも「どれだけ長く持ち続けられるか」です。
一時的な値動きに振り回されて感情で売買してしまうと、本来得られるはずだった利益を自分から手放してしまうことになります。
実は、多くの投資初心者が最初につまずくのがこの「感情のコントロール」です。
価格が上がれば「もっと買っておけばよかった」と欲が出て、下がれば「やばい、損する前に売らなきゃ」と不安が勝つ。そうやって相場に合わせて右往左往するうちに、結果的に高値で買って、安値で売るという「典型的な失敗パターン」に陥ってしまうのです。
でも、ここで忘れてはいけないのは、時間こそが最大の武器であり、最強の味方であるということ。
たとえ一時的に評価額が下がったとしても、売らずに持ち続けていれば、時間の経過とともに相場は回復することが多く、利益も積み上がっていきます。これは「複利」の効果や、マーケットの回復力によるものです。
暴落は誰にとっても怖いものですが、そこで動いてしまうか、静かに待てるか。
たったそれだけで、10年後の資産額が大きく変わってくるのです。
だからこそ大切なのは、最初に自分の中で「売らない」と決めておくこと。毎日値動きをチェックしたくなる気持ちをぐっとこらえて、あえて見ない。積立を設定したら、あとは放っておく。
そうすることで、「感情」に振り回される場面をぐっと減らすことができます。
投資において成功する人の多くは、「頭の良さ」よりも「心の強さ」、つまり自分のルールを守り抜く意思の力を持っている人です。
時間を信じて、感情に負けない。
この姿勢が、長く投資を続けるうえでのいちばんの土台になります。
②よくわからない商品には手を出さない
「○○は今がチャンス!」
「これから絶対に伸びる!」
そんな情報に心が揺れて、よくわからないまま投資してしまった経験、ありませんか?
初心者にありがちなのが、「短期で儲かりそう」「まわりもやっているから」という理由だけで投資商品を選んでしまうこと。
でも、これはギャンブルに近い感覚でとても危険です。
特に暗号資産やFX、個別株などは値動きが激しく、仕組みも複雑なものが多いため、中身を理解しないまま始めると大きな損失につながりかねません。
ここで重要なのは、「儲かりそうかどうか」ではなく、自分にとってその投資が“何のため”かをはっきりさせること。
- 老後のために、20年かけてコツコツ増やしたい
- 数年後の教育資金として、堅実に備えたい
- 配当で生活費の一部を補いたい
人によって目的はさまざまですが、目的が決まれば、おのずと“選ぶべき商品”の方向性も見えてきます。
たとえば、堅実に運用したい人がレバレッジ型ETFや仮想通貨に全力投資するのは、まさに目的と手段がチグハグな状態。
それでは心が持ちませんし、継続も難しくなります。
逆に、目的に合った商品を選び、きちんと理解してから投資すれば、値動きがあっても冷静に対応でき、「自分で納得して選んだ」という自信が、ブレない投資姿勢につながります。
流行りや噂に流されるのではなく、
- 理解してから買う
- 目的に合うかで判断する
この2つの視点を常に意識しておきましょう。
③SNSの情報をうのみにしない
「この銘柄で○○万円の利益が出ました!」
「これからは○○が爆上がりするらしい!」
SNSを見ていると、そんな成功報告が次々に流れてきます。特に投資を始めたばかりの頃は、「自分も何かしないと出遅れるんじゃ…」と焦ってしまいがち。
でも、SNSはあくまで“切り取られた一部の世界”だということを忘れてはいけません。
たとえば、表では「100万円儲かった!」と書いている人が、裏では「150万円損していた」なんて話も珍しくありません。
SNSは“盛られた成功”が目立つ世界。失敗談はあまりシェアされないので、結果だけを見て判断してしまうと大きな落とし穴にはまります。
だからこそ大切なのは、情報をうのみにせず、自分で裏を取る姿勢です。
- 「この人が言ってたから買う」のではなく、**なぜそう言っているのか?**を考える
- 気になる話題があれば、BloombergやCNBC、日本経済新聞などの一次情報で確認する
- その商品について自分で調べ、納得してから判断する
こういった“調べるクセ”を持つだけで、情報に振り回されることが格段に減ります。
また、同じテーマでも立場によって見え方は違うという点にも注意が必要です。
たとえば、米国株を中心に投資している人が「米国株最高!」と言うのは当たり前ですし、暗号資産で成功した人が「ビットコインこそ未来」と言うのも当然です。
でも、それはあくまで「その人にとっての正解」。あなたにとっての正解とは限りません。
情報をエンタメとして楽しむのは全く問題ありません。
でも、SNSで得た情報をうのみにして行動に移す前に「本当に自分に合っているか?」という冷静な視点を忘れないようにしましょう。
④積立投資の効果は後からやってくる
積立投資を始めたばかりの頃、誰もが一度はこう思います。
「えっ…思ったより増えないんだけど」
「毎月積み立ててるのに、損してる?」
でも、安心してください。それ、すごく普通のことです。
積立投資は時間をかけて効果を発揮するしくみでになっているから、最初の数年は見た目のリターンが少なくても当たり前。むしろ序盤で大きく増えていたら、それは一時的な追い風か運です。
本当に積立の力が効いてくるのは、10年、20年というスパンで見たとき。
これは「複利効果」が年数とともに雪だるま式に大きくなるからです。
たとえば、S&P500に毎月積立を20年間続けた場合、最初の5〜10年は元本割れしている時期もありました。リーマンショックやITバブル崩壊など、経済的な大きな揺れがあったからです。
でも、その期間も淡々と積み立てを続けていた人は、結果的に大きな利益を得ることができました。
つまり、積立投資の本質は「続けること」にしかないのです。
逆に、「数ヶ月やって成果が出ないからやめる」のは、野菜を植えて芽が出る前に掘り返してしまうようなもの。
育つまで時間がかかるのは、自然の理と同じです。
「今は増えていないけれど、これは将来の自分に渡す“プレゼント”を毎月仕込んでいるようなもの」
そう思えたら、目先の損益に一喜一憂しなくなります。
積立投資は、じわじわ効いてくる「時間を味方にする戦略」。
焦らず、ブレず、着実に。
その姿勢こそが、将来の大きなリターンを引き寄せます。
⑤自分のリスク許容度を知っておく
投資を始めた人の中には、こんな経験をした方も多いのではないでしょうか。
「含み損を見たら不安で夜眠れなくなった…」
「毎日アプリを開いて、下がってる数字にハラハラする…」
これは、決してあなたがメンタルが弱いというわけではありません。
単純に「リスク許容度」を超えた投資をしてしまっているだけなんです。
同じ10%の下落でも…
- 投資額1万円なら → 損失1,000円
- 投資額100万円なら → 損失10万円
数字は同じでも、感じるプレッシャーはまったく違いますよね。
リスク許容度は、投資経験・生活環境・年齢・性格などによって人それぞれ異なります。他人と比較して「もっと投資しなきゃ」と思う必要は一切ありません。
投資において大事なのは、損失が出ても落ち着いていられるかどうか。言い換えれば、「一度下がっても売らずにいられる金額」が、あなたにとって適正な投資額です。
もし毎日ソワソワしてアプリを開いてしまうようなら、それは明らかにリスクを取りすぎ。その場合は、一度投資額を見直すか、値動きの小さい商品に切り替えるのが得策です。
投資=常に攻めなければいけない、というわけではありません。
自分にとって無理のないペースで続けられることが大事です。
⑥暴落は「いつか来る」ではなく「必ず来る」
投資を続けるうえで最も避けたいのが、暴落時のパニック売り。
でも、そもそも暴落とはいつか来るかもしれない出来事ではなく「必ず来る出来事」です。
ここ100年でも大小さまざまな暴落がやってきました。
- 1929年:世界恐慌(-83%)
- 1987年:ブラックマンデー(-30%)
- 2000年:ITバブル崩壊(-45%)
- 2008年:リーマンショック(-50%)
- 2020年:コロナショック(-20%)
つまり、暴落は予期せぬハプニングではなく、「定期的な通過儀礼」のようなもの。これを前提として備えておくことが、長期投資ではとても重要です。
暴落時にやってはいけないのは“慌てて売ること”
暴落のときに多くの人がやってしまうのが、「もうダメかも…」と不安になって安値で売ってしまうこと。
でも、過去のチャートを振り返ればわかるように、暴落は一時的な後退にすぎず、その後は必ず回復してきたのが歴史の事実です。
一番損をするのは、下がったときに慌てて売ってその後の回復を逃すパターン。
暴落が来ても売らずに、「これは一時的な下落」と信じて耐えることが大切です。
売らなければ損は確定しません。過去の暴落もすべて時間とともに回復してきました。
焦らず、手放さず、コツコツ積立を続けましょう。嵐はいつか必ず過ぎ去ります。
積立投資なら、暴落は「買い時」になる
そして、積立投資をしている人にとって、暴落はむしろ安く買えるチャンス。
毎月決まった金額で買い続けるため、価格が下がれば下がるほどたくさんの口数を買うことができるんです。その結果、相場が回復したときにはより大きなリターンにつながることも多いです。
暴落は怖いものではありますが、正しく備えていれば恐れる必要はありません。
- 暴落は必ず来る前提で資金管理をする(資産の一部は現金で持っておく)
- 日々の値動きに一喜一憂しない
- 暴落時に慌てない仕組み(積立・自動化)を作っておく
大切なのは、「暴落が起きたときに自分がどう動くか」を今のうちに決めておくこと。備えがあればどんな相場でもブレずにいられます。
暴落を恐れるのではなく、冷静に乗り越える力を今から育てていきましょう。
⑦分散投資をあなどらない
「卵は一つのカゴに盛るな」
これは投資の世界でリスクを減らすための鉄則としてよく使われる言葉で、1つの銘柄や業種、国に集中投資していると、万が一うまくいかなかったときにすべてを失ってしまう可能性がある、という意味です。
だからこそ、リスクを一箇所にまとめない工夫=分散が欠かせません。
最もシンプルで強力な分散方法は、オルカン(全世界株式)やS&P500などのインデックスファンドを通じて“自動的に分散する”こと。
これらの投資信託は、1本買うだけで数百〜数千社に分散投資できるように設計されているので、たとえどこかの企業が調子を崩しても、他の好調な企業がそれをカバーしてくれます。
つまり、一社に頼らない強さ=分散の力なんです。
投資を始めたばかりの頃は、どうしても「この銘柄がいいらしい」「○○はこれから来る!」と、“当てにいく”スタンスになりがち。
でも、未来がどうなるかなんて誰にもわかりません。
だからこそ最初は、「外しても致命傷にならないように備える」ことが先決。それを可能にするのが、分散投資という考え方です。
当たりを探すのではなく、外れにくくする。
焦らず、大きく狙いすぎず、しっかりと守りながら資産を育てていきましょう。
⑧買い時を狙いすぎると、結局買えない
「もっと下がったら買おう」
「今は高すぎるから、様子を見よう」
そう思っているうちに相場が上がっていき、「あのとき買っておけば…」と後悔する。
これが“買い時の罠”です。
投資初心者にありがちなのが、「安くなったら買いたい」と思いつつ、実際に安くなると「まだ下がるかも」と不安になって買えないということ。
さらに厄介なのは、下がったあとに反発し始めても「もう遅いかな…」と迷って、また買えない。
結局、ずっと様子を見ているだけで、何もしないまま時間が過ぎてしまうのです。
タイミング投資は、実はものすごく難しいんです。
これを防ぐ一番シンプルな方法が、積立投資による自動化です。
毎月決まった金額で、機械的に投資していれば、
- 高値のときもコツコツ買う
- 安値のときはたくさん買える
といった形で、“平均してほどよい価格”で資産を積み上げていくことができます。
これは「ドルコスト平均法」と呼ばれ、特に初心者にとって有効な買い方です。
相場を読もうとするのは、多くのプロ投資家でも難しいこと。
買い時を待って何もできないより、積み立てを習慣化して将来の成果をコツコツ仕込んでいきましょう。
⑨自分の“投資ルール”を持つ
投資を始めると、
「もっと積み立てたほうがいいのかな?」
「この下落、売るべき?」
といった迷いがつきものです。
そんなときに支えになるのが、「あらかじめ自分で決めた投資ルール」。
たとえば、「資産の50%は貯金、50%は投資」といったバランスを決めておけば、株価が大きく下がっても「まだ貯金があるから大丈夫」と冷静でいられます。
これは、感情に左右されない“土台”をつくるという意味でも非常に有効です。
最初のルールはシンプルでOK。
たとえば…
- 「月収の5〜10%を積立に回す」
- 「生活防衛資金は必ず現金で6ヶ月分確保する」
- 「暴落が来ても売らないと決めておく」
こんな小さなルールでも、いざという時に「自分はどう動くか」を迷わず判断できるようになります。
そして、最初に決めたルールをずっと守り続けなければいけないわけではありません。
収入やライフステージに応じてルールは調整すればOK。
投資は、計画と習慣の積み重ね。自分なりのルールがあれば、迷わず、ブレずに続けられます。
⑩セキュリティ対策は絶対に怠らない
コツコツ積み立てた資産が、ある日突然すべて消えてしまう──
そんな最悪のシナリオ、考えたくないですよね。
でも現実には、証券口座への不正アクセスや乗っ取り被害が年々増えています。
特に2025年に入ってからは、国内のネット証券を狙った被害が急増。楽天証券やSBI証券では、追加認証やスマホ認証の義務化が次々に進んでいます。
これは他人事ではなく、誰にでも起こり得る“現実的なリスクです。
投資というと「お金を増やすこと」ばかりに意識が向きがちですが、まず大前提として“守る”ことが最優先。
資産を育ててもそれを守る仕組みがなければ、積み上げた努力が一瞬で水の泡になる可能性があります。
不正アクセスは、特別なターゲットだけを狙っているわけではありません。むしろセキュリティ意識が低い“普通の人”ほど、狙われやすいというデータも。
ちゃんと対策しておけば、防げる被害はたくさんあります。
「自分は大丈夫」と思い込まず、しっかりセキュリティ対策に取り組みましょう。
今すぐできる3つの基本対策
- 2段階認証を必ず設定する
SMSコードや認証アプリを使ったログインを必須に。 - スマホ認証・指紋認証を有効化する
楽天証券やSBI証券など、各社が提供している「追加認証機能」は必ずONに。 - パスワード管理を徹底する
誕生日や名前などの推測されやすい文字列は避け、使い回しもNG。
パスワード管理アプリの利用もおすすめです。
投資の失敗を防ぐ10のルールまとめ
投資って、難しい知識やテクニックが必要と思われがちですが、実は大切なのはもっとシンプルなこと。
「感情で動かない」「わからないものは買わない」「焦らずコツコツ続ける」――この基本を守れるかどうかが、うまくいくかどうかの分かれ道になります。
今回ご紹介した10のポイントは、どれも初心者でもすぐに意識できるものばかり。
一つひとつを実践していくだけで、失敗のリスクはぐっと減り、投資を「安心して続けられるもの」に変えていけるはずです。
最初は誰でも不安になりますが、正しい知識と心構えがあれば大丈夫。
できることから少しずつ始めて、じっくり未来に備えていきましょう。