最近は主婦の方からも「将来のために資産形成をしておきたい」という声をよく聞くようになりました。
その中でも特に人気なのが、「S&P500(米国株)」と「オルカン(全世界株)」という2つの投資信託。
ネットや証券会社のランキングでも、いつも上位に入っているおなじみの名前です。
「アメリカの経済成長に期待してS&P500?」
「いやいや、世界全体に分散できるオルカン?」
——どっちも魅力的で、選びきれない!という方も多いはず。
そして、迷った結果「両方ちょっとずつ持てば安心かも…?」と思ったときにぶつかるのが、
2つ持ちは意味がない
リスク分散にならない
中途半端になるだけ
というネット上の否定的な意見。
でも、本当にそうなんでしょうか?
結論から言うと、私は「2つ持ち」も大いにアリだと思っています。
ただし、なんとなくで選ぶのではなく「きちんと中身を理解した上で」選ぶことがポイント。
この記事では、投資初心者さんでもわかるように
- SP500とオルカンの違い
- 2つ持ちのメリット・デメリット
- 私が「2刀流」でも安心だと思う理由
をやさしく解説していきます。迷っている方も、この記事を読み終えるころには「これでいいんだ」と思えるはず。
未来のために、無理なく安心して続けられる選択を一緒に見つけていきましょう!
ざっくりおさらい!S&P500とオルカンのちがい
まずはS&P500とオルカンにはどん違いがあるか見ていきましょう。
S&P500 eMAXIS Slim 米国株式 | オルカン eMAXIS Slim 全世界株式 | |
---|---|---|
投資先 | アメリカ | アメリカ・日本・イギリス・カナダ・フランス・ドイツ・スイス・インド・台湾・その他 |
NISA つみたて投資枠 | ||
NISA 成長投資枠 | ||
過去30年 平均リターン | 約12.5% | 約7.5% |
実質コスト (うち信託報酬) | 0.0924% (0.0814%) | 0.131% (0.05775%) |
S&P500(米国株)
S&P500(エスアンドピーごひゃく)は、アメリカの優良企業500社の株価をまとめた指数で、AppleやGoogle、Amazonなど、世界を代表する大企業がたくさん含まれています。
このS&P500に連動する投資信託にお金を預けることで、アメリカ経済全体にまとめて投資できるのが魅力です。
コストがとても安く、過去30年の平均リターンは10%以上と、しっかり資産を増やしてくれた実績もあります。
アメリカは、人口増加やイノベーション(AI、半導体、ITなど)で今後も成長が期待される国。その成長力を1本で取り込めるのが、S&P500連動型ファンドの強み。
「どれを選んでいいかわからないけど安心したい」そんな初心者の方ににおすすめの王道ファンドです。
- アメリカを代表する500社に投資(AppleやGoogleなど)
- 過去30年の平均リターン:12.5%
- 信託報酬:0.0814%
- 時価総額が大きい企業ほど、S&P500全体へ与える影響も大きくなる
S&P500については、以下の記事でくわしく解説しています。
オルカン(全世界株型)
オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式、“オール・カントリー)は、たった1本で世界47カ国・2,800~3,000社の株式にまるごと投資できる投資信託です。
アメリカ、日本、ヨーロッパから新興国まで自動で分散投資してくれます。
オルカンなら世界経済全体の成長に乗っかれるので「どこの国が成長するかなんてわからない」と悩む人でも安心。しかも手数料(信託報酬)は年0.05775%と激安!買うのも売るのも手数料0円で、初心者にも優しい設計です。
人気の理由は、“これ1本でOK”な手軽さと、コツコツ長期運用にピッタリなところ。毎月の積み立てにも向いていて、新NISAの定番としても注目されています。
「どれを選んだらいいかわからない…」そんな方にこそおすすめの王道ファンドです。
- 世界47カ国・約3000社に投資
- 過去30年の平均リターン:7.5%
- 信託報酬:0.05775%
- 「迷ったらオルカン」コツコツ積み立てたい人向け
オルカンについては、以下の記事でくわしく解説しています。
「2つ持ちはやめた方がいい」と言われる理由
中身がほとんど同じだからリスク分散にならない
実はこの2つ、中身がかなりかぶっているんです。
オルカン(全世界株式)は名前のとおり世界中に分散投資してくれるファンドですが、そのうち約6割がアメリカの株でできていて、アメリカ株をたっぷり含んでいます。
そこにさらにS&P500を加えると、同じアメリカ株に二重で投資することになってしまい、実質的には「アメリカ株だらけ」の状態に。せっかく「分散したい」と思ってオルカンを選んでも、結果的にアメリカに偏ってしまうんです。
実際、この2つのファンドの値動き(上がり下がりの動き方)はとてもよく似ていて、どちらかが下がればもう一方も同じように下がることがほとんど。2つ持っても、下落のダメージをやわらげる効果はあまり期待できません。
たとえば、S&P500とオルカンを1:1の割合で持っていると、全体の約8割がアメリカ株になってしまいます。これではオルカンの「世界に分散投資する」メリットも薄れてしまいますよね。
これは”リターンの少し低いS&P500″を作っているようなもの。「とりあえず2つ持っておこう」は、よさそうに見えて中途半端な選び方かもしれません。
リスク分散を本気で考えるなら、値動きが違うものを組み合わせるのが基本。
S&P500とオルカンはどちらも“アメリカ中心の株式”なので、両方持っていてもリスクを分け合うことにはならないので注意が必要です。
投資方針が中途半端になる
S&P500とオルカン、実は投資の方針がぜんぜん違います。
オルカンは「世界中にバランスよく投資して、安定した成長を目指そう」というタイプ。
効率よくリターンを出すために、そのときどきの企業の時価総額(=企業の大きさ)に応じて、自動でバランスを調整してくれるしくみを採用しています。
どの国が成長してもいいように、まんべんなく広く投資するスタイルです。
一方、S&P500は「アメリカの成長にかけて集中投資!ちょっとリスクを取ってでも大きく増やしたい」という戦略。
ちょっと攻めた考え方で、将来もアメリカが伸びると信じている人向けの投資です。
どちらも魅力的ですが、これら2つを同時に持つと、お互いの良さを打ち消し合ってしまう可能性があります。
たとえば、「アメリカのこれからの成長に期待してS&P500を選ぶ」という考え方なら、本来はアメリカ株だけにしっかり投資するのが王道。そこにオルカンを組み合わせると、他の国の株も混ざるため、S&P500の持ち味である“アメリカ集中”のパワーが弱まってしまいます。
逆に、「世界全体にバランスよく投資してリスクを減らしたい」という理由でオルカンを選んだのに、そこへS&P500を追加すると、今度はアメリカ株に偏りすぎてしまい、せっかくの“世界分散”の効果が薄れてしまうことになります。
このように、2つの考え方を混ぜると、どちらの良さも中途半端になりやすく、投資の方針として矛盾が出てしまうんです。
気持ちがブレて安定した投資ができない
さらに怖いのが、自分の気持ちがブレやすくなること。
ニュースでアメリカ株が不調と聞けば「やっぱりオルカンだけにしようかな…」
でも数ヶ月後に「アメリカ株が絶好調!」となると「S&P500に戻した方がいい?」と、どっちつかずに。
コロコロ方針を変更してばかりいると安定して投資ができず、結局成果も出づらくなってしまいます。
それでも私は「2つ持ち賛成派」その理由は?
両者の“いいとこ取り”ができる
S&P500はアメリカの経済成長に集中して投資するぶん、リターンが大きくなることが期待できます。ただし、値動き(上下のブレ)もそれなりに大きく、気持ちが不安定になる場面も。
一方オルカンは、世界中の株式に分散して投資することで、リスクを分散しながら安定的な成長を目指すタイプ。リターンはやや控えめですが、安心感があります。
この2つをバランスよく組み合わせることで、“高すぎず低すぎず、ちょうどいいパフォーマンス”を狙えるのが2つ持ちのいちばんのメリットです。
アメリカ株が不調なときはオルカンの分散が下支えしてくれたり、逆にアメリカが絶好調なときはS&P500が全体のリターンをグッと押し上げてくれます。
「上がりすぎず、下がりすぎず」の安定感があることで、安心して運用を続けられます。
精神的に余裕がもてる
2つ持ちをすると、「どっちが伸びても大丈夫」という精神的な余裕も生まれます。
今後もアメリカがグングン成長していけば、S&P500の恩恵をしっかり受けられます。
逆に、将来は新興国やヨーロッパ・アジアなどが伸びてくるかもしれませんが、その場合もオルカンを通じてしっかり利益を取りこぼさずに済みます。
つまり、「片方に賭けて外れたらどうしよう…」という不安が少なくなるんです。
米国株だけに投資していたときは他の国の成長が気になってソワソワしてしまったけど、オルカンも持っていると“どこが伸びてもOK”と思えるようになりました。
この安心感は、値動きに振り回されずに投資を続けていくうえでとても大きな支えになります。
どっちにするか悩むより少しでも早く両方に投資した方が結果に結びつく
両方に投資しておくことで、悩まずに早くスタートできるのも大きいメリット。
投資の世界ではよく「時間を味方につけることが成功のカギ」と言われます。スタートが早ければ早いほど、長く複利の効果を受けられるからです。
どちらにするか悩んで始められずにいるより、まずは2つとも少しずつでいいから始めてみる方が将来的なリターンに繋がります。
完璧な選択よりも、「早く始めること」「続けること」の方がずっと大事です。
自分で納得して選んだ投資は続けられる
どんな投資でも、最終的に一番大事なのは「自分が納得しているかどうか」。
「なんとなく人気だから」や「おすすめされてなんとなく買った」だと、少しの下落や不安材料ですぐに心が揺れてしまいがち。
でも、それぞれの特徴を理解したうえで、「私はこの2つを信じてやっていく」と自分の中で決めておけば、たとえ経済ニュースやSNSでいろんな情報が流れてきてもブレにくいです。
自分で納得して選んだ投資は、続ける力になります。
投資で一番の失敗は、途中でやめてしまうこと。
そうならないためにも「2つ持っておく」という選択は、気持ちを安定させ長く続けるために有効な方法だと思います。
まとめ|「賢い2つ持ち」で安心感を持って資産を築こう
「S&P500とオルカン、どっちにするか決めきれない…」と迷っているなら、思いきって“2つ持ち”で始めてみるのもおすすめです。
世界中に分散して投資できるオルカンと、アメリカの高成長をしっかり取り込めるS&P500を組み合わせれば、ちょうどいいバランスでいいとこ取りができます!
また、両方に少しずつ投資しておけば「どっちが伸びてもOK」と思える安心感もうまれ、値動きに振り回されずに投資を続けられます。
大切なのは、「完璧な選択」を探して立ち止まるより、「まず動く」こと。早く始めるほど複利の効果が効いて、将来のリターンが大きくなります。
将来の自分の安心のために、小さな一歩を踏み出してみませんか?