「新NISAで投資を始めたいけど、オルカン1本で本当に大丈夫?」
そんな疑問を持つ方、特に投資ビギナーさんにこそ知ってほしいのが、この“オルカン”こと「eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)」。
これ1本で世界中の株式にまるっと投資できて、コストは最安クラス、運用実績も優秀という、まさに「迷ったらこれ!」なファンドなんです。
でも「本当に1本で足りるの?」「リスクは?」「新NISAでどう活かせるの?」と気になるポイントもありますよね。
この記事では、そんなオルカンの魅力やリアルな実力、よくある不安への答えまで、やさしくていねいに解説します。
これからの資産形成に向けて、一緒にじっくりチェックしていきましょう!
オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)ってなに?
通称「オルカン」とは、eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)のこと。
その名のとおり、世界中の株式をまるごと対象にした投資信託です。日本を含む先進国や新興国、あわせて約50カ国・2800~3000社の企業に幅広く投資してくれます。
アメリカのAppleやマイクロソフト、日本のトヨタやソニー、中国のテンセントなど有名な企業もたくさん含まれています
多くの国や企業に分散して投資することで、ある国や会社の調子が悪くても、他の好調なところがそれを支えてくれるようなバランスのとれた構成になっています。
リスクを分散しながら世界全体の成長を取り込めるのが最大のメリット!
なんで人気なの?
オルカンがここまで多くの人に選ばれているのは、資産運用において大切なポイントをしっかりおさえているからです。
たとえば…
- 世界中に分散投資している
- 手数料がとても安く、続けやすい
- 過去の運用実績が安定している
- 新NISAの制度にぴったり合っている
- 為替の影響で思わぬプラスが出ることもある
なかでも「世界中に自動で分散してくれる」という特徴は、「どの国がこれから伸びるのか」を自分で考える必要がなく、初心者にとっても始めやすいと感じられる大きな安心材料です。
さらに、運用にかかるコストが業界でも最安レベルなので、コツコツ積み立てるだけで資産がじわじわと増えていくしくみが整っています。
また、オルカンに含まれる多くの企業はドルやユーロなど海外の通貨で動いているため、円安のときは日本円での評価額が上がりやすくなるといううれしい一面も。
投資は初めてで不安…
失敗したくない
何から選べばいいか分からない
という方にとって、オルカンはわかりやすい、始めやすい、長く続けやすいと3拍子そろった商品なのです。
単なる流行ではなく、安心して続けられる“合理的な選択肢”だから人気なんですね。
オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)の投資先はどこ?
構成は、アメリカが約60%、日本が約5%、残りがヨーロッパやアジアなど世界中の国々です。
順位 | 国名 | 割合(参考値) |
---|---|---|
1位 | アメリカ | 約60〜63% |
2位 | 日本 | 約5〜6% |
3位 | イギリス | 約3〜4% |
4位 | カナダ | 約2〜3% |
5位 | フランス | 約2〜3% |
6位 | ドイツ | 約2〜3% |
7位 | スイス | 約2〜3% |
8位 | インド | 約1.5%〜2% |
9位 | 台湾 | 約1.5%〜2% |
10位 | ケイマン諸島 | 約1.5%〜2% |
※先進国で約88〜90%、新興国で約10〜12%程度
投資先の割合は「各国の株式市場の規模(時価総額)」に応じて自動的に調整されます。
つまり、その時々の“世界経済の縮図”に合わせて最適なバランスで保有されるしくみになっています。
オルカンに含まれている企業(組入上位銘柄)
オルカンには世界中の優良企業が含まれています。上位はアメリカ企業が多く、特にハイテク・IT関連の大企業が目立ちます。
企業名(本社国) | 主な事業内容 |
---|---|
NVIDIA 🇺🇸 | GPU(画像処理装置)、AI関連 |
Microsoft 🇺🇸 | Windowsやクラウド、Officeなど |
Apple 🇺🇸 | iPhoneやMacなどの製造・販売 |
Amazon 🇺🇸 | ネット通販・クラウドサービス |
Meta Platforms 🇺🇸 | Facebook・Instagramの運営 |
Broadcom | 半導体、インフラ向けソフトウェア |
Tesla 🇺🇸 | 電気自動車・バッテリー |
Alphabet 🇺🇸 | Googleの親会社、検索エンジン等 |
TSMC 🇹🇼 | 世界最大の半導体製造請負会社 |
上位10社だけでオルカン全体の約15〜20%を占めることもあります
業種のバランスも優秀
オルカンは、国だけでなく業種も分散されています。
業種カテゴリ | 比率(目安) |
---|---|
情報技術 | 約20〜25% |
金融 | 約15〜20% |
資本財・サービス | 約10〜15% |
一般消費財・サービス | 約10〜15% |
ヘルスケア | 約8〜10% |
コミュニケーション・サービス | 約8〜10% |
生活必需品 | 約5〜8% |
エネルギー | 約2〜5% |
素材 | 約2〜5% |
公益事業 | 約2〜5% |
AI・半導体・医薬品・エコカー・クラウド・SNSなど、成長が期待される分野がバランスよく入っているのが特徴です。
オルカンは実際どれくらい増えるの?リターンとリスク
オルカンは、ACWI(アクウィー)指数に連動しているインデックスファンドです。
ACWI指数は、「世界の株価全体が今、どれくらい上がっているか下がっているか」を表す、世界株式の成績表のようなもの。
株式市場での“企業の大きさ”に応じて、ACWIでの占める割合が決まります。
たとえば、
- AppleやMicrosoftのように大きな企業は比率が多い
- 小さい企業は比率が少ない
自然と「世界経済に影響を与えやすい大企業中心の構成」になっており、より現実的な“世界の経済の姿”を映していると言えます。
「リターン」と「リスク」
投資では「リターン」と「リスク」という言葉がよく出てきます。
リターンとは、お金がどれくらい増えたかの割合のこと。たとえば、100万円が1年で110万円になったら、リターンは「+10%」です。
リスクとは、値動きの大きさのこと。価格が大きく上がることもあれば、大きく下がることもあるという“ブレ幅”を指します。リスクが高いというのは、「大きく増える可能性もあるけれど、大きく減る可能性もある」という意味です。
つまり、リスクがあるからこそ大きなリターンも狙えるというのが投資の基本的な考え方です。
リターンだけを求めてリスクを無視することはできませんが、長く続けていくことでリスクをうまくならしていくことができます。
オルカン過去30年の成績(1994年〜2023年)
- 年平均リターン:約+7.5%
- 年平均リスク:約15.3%
これは「増えた年もあれば下がった年もあるけど、30年平均すれば7.5%増えたよ」という意味です。
1000円を投資すると1年後に約7割の確率で880円~1270円になっているというイメージです
株価は上がったり下がったりしますが、長い目で見ると世界の経済全体は成長していくものと考えられています。
オルカンへの投資は、短期で大きく増やそうと思わず、ゆっくり時間をかけて「育てる」つもりで続けるのがコツです。
為替の影響(円高・円安)
オルカンに含まれる多くの株は、米ドルやユーロといった外国通貨で運用されています。そのため、円安のときには為替の影響で資産の評価額がプラスになりやすいです。
たとえば、30ドルのアメリカの株を持っているとき、
- 1ドル=100円のとき 日本円で3000円の価値
- 株価が下がり27ドルに 円安が進み1ドル=120円になれば、日本円では3240円の価値
株価は下がっても、為替の変動でプラスになることがあるというわけです。
最近は物価上昇の影響もあって円安傾向が続いていますが、こうしたファンドを持っておくことで、ある意味「円安対策」になります。
オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)の手数料はどれくらい?
投資をするうえで、手数料(コスト)はとても大切です。投資信託には4つの手数料があります。
- 購入時手数料
- 信託財産留保額
- 信託報酬(保有コスト)
- 総経費率(実質コスト)
このうち、一番大事なのは ③信託報酬 と ④実質コスト です。
- 信託報酬:投資信託を保有している限り、毎年かかる基本の手数料
- 実質コスト:信託報酬に加えて、売買手数料や税金など目に見えない費用を含めた「本当のコスト」
eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)の手数料は以下のとおり。
手数料の種類 | 説明 | オルカンの場合 |
---|---|---|
購入時手数料 | 買うときにかかる費用 | 0円 |
信託財産留保額 | 解約時にかかる手数料 (迷惑料のようなもの) | 0円 |
信託報酬(保有コスト) | 毎年自動的に引かれる手数料 ※運用中ずっと引かれる | 年0.05775%以内 |
総経費率(実質コスト) | 運用の中で発生する 細かな手数料の合計 | 年0.131% (最新実績) |
オルカンは、実質コストが年0.131%と非常に優秀です。
実際どれくらいの金額が引かれるの?
実際の資産額に対して、年間どれくらいコストがかかるかをまとめてみました。
運用額 | 年0.131%の手数料額 |
---|---|
10万円 | 約113円 |
50万円 | 約566円 |
100万円 | 約1,132円 |
500万円 | 約5,662円 |
1,000万円 | 約11,325円 |
つまり、100万円を丸ごと1年間預けても、年間コストはたったの1,100円程度。
これは業界でも「ほぼ最安」で、かなりお得な設計になっています。
低コストな理由は?
オルカンは、純資産残高(集まったお金)が増えると、自動的に手数料(信託報酬)が安くなるしくみを導入しています。投資家がたくさん集まってファンドが大きくなると、利益は運用会社ではなく私たち投資家に“お得”として返ってくるようになっているんです。
さらに、eMAXIS Slimシリーズは「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」と宣言している珍しいファンド。実際に、後から登場したライバルファンドが手数料を下げると、eMAXIS Slimもそれに合わせて下げてくれる傾向があります。
また、オルカンは純資産総額が5兆円を超えるほどの超大型ファンドにまで育っています。
ここまで大きくなると、いろいろなコスト面での“割引”や“効率化”が働くようになります。たとえば、事務や管理にかかる固定費用をたくさんの投資家で分け合えるので、1人あたりの負担が少なくなるんです。
つまり、「オルカンは投資する人が増えるほど、みんなでお得になっていく」構造になっていて、多くの人に選ばれた結果低コストが実現しているんですね。
新NISAでオルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)をどう活用する?
新しいNISAでは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つがあり、非課税で投資ができる金額も大きくなりました。
ここからは新NISA × オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)について見ていきましょう。
上手に使えば、将来に向けて効率よく資産を増やしていけますよ
新NISA2つの枠のおさらい
まずは、新NISAの2つの枠について。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
---|---|---|
年間投資枠 | 年120万円 | 年240万円 |
投資対象 | 長期つみたて向けの低コスト投資信託 | 株式・ETF・幅広い投資信託 |
生涯の非課税枠 | 合計1800万円 |
両方の枠は併用することができ、売却すればその分の枠が復活します。
生涯投資枠について
1人あたりつみたて投資枠・成長投資枠あわせて1800万円まで。
そのうち、成長投資枠は1200万円までという上限があります。
つみたて投資枠については上限がなく、極端に言うと1800万円すべてをつみたて投資枠で埋めることも可能です。
オルカンはどの枠で買える?
オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)は、「つみたて投資枠」「成長投資枠」どちらでも買えます。
コツコツ投資したい人や投資初心者の方は、毎月一定額を積み立てる「つみたて投資枠」での購入がおすすめです。
新NISAを使うと、どれくらい非課税メリットがあるの?
たとえば、オルカンを1年あたり60万円で20年間積み立てた場合(年利5%想定)、
- 20年後の資産額:約2,083万円
- 積立額(元本):1,200万円(年間60万円 × 20年)
- 利益:約883万円
- 課税額(20.315%):約179万円
本来なら約179万円の税金が引かれてしまうところ、新NISAを使えば利益約883万円がまるまる受け取れます!
オルカンに関するよくある質問
- オルカン1本で本当に十分なの?
-
基本的には「これ1本でOK」。
目的によっては他の資産との組み合わせもアリです。
オルカンは、約50カ国・約3000銘柄に分散投資しており、これ1本でも「世界経済全体に投資している」と言えるファンドです。
ですが、構成の約60%以上が米国株に偏っているというのも事実。これは世界の株式市場全体における「アメリカの存在感」が大きいから。
よりリスクを抑えたい・相場の波に備えたいという方は債券などと組み合わせるとより安心です。
おすすめの組み合わせについては以下の記事で解説しています。
- オルカンは「日本株を含むタイプ」と「除くタイプ」があるみたいだけど、どっちがいいの?
-
大きな違いは「日本株が入っているかどうか」で、国別の組入比率に大きな違いはありません。
日本株約5%分の有無によって、他国の比率が若干変動する程度です。
信託報酬は、どちらも同じ0.05775%。実質コストは日本を含むほうが約0.113%、日本を除くタイプは約0.116%となっていますが、ほぼ同じと言えるでしょう。
過去30年の実績は、
- 平均リターン:日本を含む約10.1%、日本を除く約10.9%
- 平均リスク:日本を含む約18.0%、日本を除く約18.5%
「日本を除く」ほうがやや高いリターンですが、リスク(値動きの幅)も「日本を除く」ほうが若干高めです。
長期では「日本除く」ほうがわずかに効率(リターン/リスク比)が良かったものの、両者の差は大きくありません。
結局どっちを選べばいいの?
「オールカントリー(日本含む)」が向いている人
- 初心者で「よくわからないから、まるごと全部に投資したい」人
- 海外にも日本にもバランスよく投資しておきたい人
「除く日本」が向いている人
- すでに日本株(iDeCo・勤務先の株など)を保有している人
- 将来的に人口が減る日本市場にあまり期待していない人
- オルカンから分配金(配当)はもらえますか?
-
今のところ分配金は出ません。
オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)は、運用方針として利益を分配せず、自動的にファンドの中に再投資する「無分配型」を採用しています。
無分配型は利益をそのまま元本に上乗せして再運用されるので、雪だるま式に増えていく「複利の力」がしっかり働きます。
もし「毎月お小遣いのようにお金がほしい」という場合は、オルカンではなく高配当ETFや定期的に分配金が出る投資信託を選ぶ必要があります。
ただし、分配金を受け取るとその分だけファンドの価値が減るので、長期で増やす目的の人にはオルカンのような無分配型のほうが効率よくお金を増やせる可能性が高いです。
- オルカンって暴落することはないの?短期間で下がることもある?
-
短期的には下がることもあります。でも長期で見ればしっかり育ってきた実績があります。
オルカンは、世界中の株に分散投資するファンド。株式が対象なので値動きはあります。
つまり、一時的に値下がりする=マイナスになる可能性はあるということです。
オルカンの約60%以上は米国株で構成されているため、アメリカ経済の影響を強く受けます。アメリカの景気が悪化したり金利が急に上がったりすると、オルカンも一時的に下がる傾向があります。
また、世界的に不景気になったり日本で急に円高が進んだりすると、日本円での評価額が下がることもあります。
でも過去30年の実績を見ると、オルカンが連動する「ACWI指数(世界株の平均)」は、年平均で7〜8%のプラス成長を続けています。
たとえ途中で暴落があっても、長期的には株価は回復し再び上昇していく傾向があります。
大切なのは「焦らずコツコツ続けること」。
暴落も“積立で安く買えるチャンス”と捉え、長期で続けていくのがオルカンで資産を育てるコツです。
まとめ:オルカンは「世界にまるごと投資」できる安心の1本
オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)は、これ1本で世界中の約50カ国・3000社にまるっと投資できるファンドです。
過去30年は年7〜8%くらいのペースで資産がコツコツ育っていて、将来に向けた長期投資にぴったり。
手数料も業界最安クラスで、ムダなお金がかからず長く続けやすいのもうれしいポイントです。
最近の円安のタイミングでは、為替の影響で思わぬプラスになることも!
「どこの国に投資したらいいのか分からない…」という方でも、幅広く世界中に分散しておくオルカンなら悩まずに始められます。
焦らずじっくり続ければ、しっかり育ってくれるのがこのファンドのいいところ。
投資が初めてで不安な方や、忙しくて手間をかけられない方にとって、オルカンは「わかりやすい・はじめやすい・続けやすい」の三拍子そろった優秀な1本です。
新NISAにも対応しているので、利益に税金がかからないのも大きなメリット。
オルカンで「育てる投資」始めてみてくださいね。
※注意事項・免責事項
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